明王は密教から生まれた仏で、大日如来の化身とされています。
その役割は仏の教えを説いても聞かない人々を教化すること。
その恐ろしい容貌で仏の中では異様とも思われていて、しばしば閻魔大王など地獄のお使いと混同される場合がありますが、あくまで仏の世界の方です。
怒りの表情の背景には人々を救いたいという思いがあるので、その表に出ない慈悲の心をどのように仏像に反映させられるかが仏師の腕の見せ所にもなります。
明王にもいくつもの種類がありますが、代表的なものが不動明王です。
ルーツはインドの神、シヴァ神だと言われています。
明王の中でも最も威力があり、いっさいの悪を焼き尽くし仏の道に従わない者を導き救済する役目を負っています。
その仏像の典型的な形式は、一見すると人と同じ一面二腕で、右手に剣、左手に縄を持って燃えさかる炎を背中に背負っています。
密教の仏であることから、弘法大師とセットになって販売されていることもあります。